医療法人が新たに診療所を開設・移転したり、法人の名称や役員の定数を変更したりする場合、法人の根本規則である「定款」を変更しなければなりません。

定款は法人内で任意に書き換えることはできず、社員総会(社団医療法人の場合)の決議を経た上で、都道府県知事の認可を受ける必要があります。

また、認可申請から完了までには都道府県によって異なりますが、概ね3〜6ヶ月程度を要します。ただし、これは行政側の審査期間であり、ご相談から書類準備・事前審査・本申請・認可完了までを通算すると、実態として8〜10ヶ月程度を見込む必要があります。希望する診療開始日から逆算した、余裕ある早期の準備が不可欠です。

本記事では、医療法人の定款変更に必要な手続きの流れや必要書類について詳しく解説します。

医療法人の定款変更が必要となるケース

医療法人の定款変更が必要になる場面は、分院開設に関する変更だけではありません。

以下のいずれかに該当する場合、原則として都道府県知事への認可申請または届出が必要です。

開設・運営する診療所等に関する変更

・診療所(分院)の新規開設
・診療所の移転(診療所所在地変更)
・診療所の名称変更
・診療所の廃止

法人自体に関する変更

・医療法人の名称変更
・主たる事務所の所在地変更
・役員の定数変更(理事・監事の員数)
・会計年度の変更

事業内容に関する変更

・附帯業務の新規追加・廃止
・附帯事業所の開設・移転
・附帯事業所の廃止
・附帯事業所の名称変更

本記事では、上記のうち特に相談が多い「分院開設・診療所移転・診療所廃止」に関する定款変更を中心に解説します。

その他の変更事由についても、手続きの基本的な流れは共通しています。

医療法人 定款変更と分院の関係について

分院展開で定款変更が必要になる理由

医療法人が新たに診療所(分院)を開設・移転する場合、法人の根本規則である「定款」の条文を書き換え、都道府県知事の認可を受けなければなりません。

定款は法人内部の決議だけでは変更できず、認可申請から認可までにはおおむね3〜6か月程度を要するため、事業計画に合わせた余裕のあるスケジュール管理が不可欠です。

分院展開に直結して変更が必要となる定款の条文(項目)

分院展開の際、主に以下の3つの項目で定款変更の手続きが発生します。

1. 診療所の「名称」と「所在地」の追加

定款には、法人が運営するすべての施設の名称と所在地が明記されています。

分院を開設する際は、定款の条文に新しい施設の名称と所在地を新たに追加しなければなりません。

※同一敷地内での移転であっても、診療所の名称や住居表示が変更になる場合は定款変更の対象となります。

2. 「役員定数」の変更

医療法の規定により、診療所の管理者は医療法人の理事に就任します(医療法第46条の5第6項)。

新たな管理者(理事)が加わることで理事の員数が定款の定める定数を超える場合、役員定数の変更が必要になります。

3. 「業務範囲(附帯業務等)」の追加

分院の開設と同時に、訪問看護ステーションや疾病予防運動施設などの「附帯業務」を新たに始める場合、定款の業務範囲に関する条文に新しい事業内容を追加する変更手続きが必要になります。

医療法人 定款変更 分院開設で必要になるケース

医療法人が新たに診療所(分院)を展開する際、法人の根本規則である「定款」に記載された内容が変わるため、原則として都道府県知事の認可(定款変更)が必要です。

具体的には、以下のようなケースで定款変更の手続きが発生します。

1. 診療所(分院)を新規開設する

新たに診療所(分院)を開設し、医療法人が運営する診療所を追加する場合は、定款に新しい施設情報を記載するための変更手続きが必須となります。

2. 診療所の所在地を変更する(移転)

既存の診療所を別の場所へ移転する場合も定款変更の対象です。

※同一敷地内での移転であっても、診療所の名称や住居表示が変更になる場合は手続きが必要です。

3. 診療所の名称を定める・変更する

新設する診療所の名称を定款に定める場合はもちろんのこと、すでに運営している診療所の名称を後から変更する場合にも手続きが必要です。

事前に管轄行政庁(都道府県)及び管轄保健所へ確認を行ってから進めることを推奨します。

4. 診療所に関係する事業目的(附帯業務)を追加する・変更する

診療所の開設と併せて、訪問看護ステーションや疾病予防運動施設などの「附帯業務」を新たに始める場合は、定款の事業目的条項への追加が必要です。

また、すでに運営している附帯事業所の名称や所在地を変更する場合も、同様に定款変更の手続きが必要になります。

これらの変更を行うためには、社員総会等の決議を経た上で、開設予定時期から逆算した余裕のあるスケジュール(認可までにおおむね3〜6か月程度)を組んで事前申請を行うことが重要です。

医療法人 定款変更  統合・廃止で必要になるケース

医療法人が診療所(分院)の統合や廃止、機能の見直しを行う場合も、定款に記載されている施設情報などを変更することになるため、都道府県知事の認可(定款変更)が必要です。

具体的には、以下のようなケースで手続きが発生します。

1. 診療所を統合して拠点を整理する

複数の診療所を一つに統合して拠点を整理する場合、存続する診療所の「拡張」や、診療所の「廃止」、あるいは新しい場所への「新規開設(移転)」など、複数の変更手続きが複合して発生する可能性があります。

定款に記載されている各施設の名称や所在地の記載を、実態に合わせて整理しなければなりません。

2. 開設する診療所を廃止して診療体制を見直す

運営している診療所を廃止(閉院)して診療体制を見直す場合、定款に記載されている当該診療所の名称と所在地を削除するための「既存診療所の廃止」の手続きが必要です。

法人内部の判断で閉院するだけでなく、行政への申請及び届出が伴う点に注意が必要です。

なお、廃止に際しては定款変更認可のほか、保健所への診療所廃止届や地方厚生局への保険医療機関廃止届など、連動する行政手続きが別途必要になります。

3. 診療所の診療機能変更に合わせて条文を調整する

診療所の役割を見直し、定款に記載されている施設の名称・所在地・事業内容に変更が生じる場合や、附帯業務を廃止する場合には定款変更が必要になります。

施設の実態と定款の条文を一致させるための重要な手続きです。

これらの変更を行う際も、新規開設時と同様に社員総会等での決議を経た上で、都道府県知事への事前申請が必要です。

認可書が交付されるまでには、おおむね3〜6か月程度の期間を要するため、閉院や統合のスケジュールから逆算して計画的に準備を進めることが大切です。

医療法人 定款変更 分院開設手続きの流れ 全体像

医療法人が診療所(分院)を新たに開設する場合、物件を契約して内装を整えるだけでは診療をスタートできません。

法人内部での決議から始まり、複数の行政機関で順を追って手続きを進める必要があります。

全体の流れは、大きく以下の5つのステップに分かれます。

ステップ1:法人内部での決定(理事会付議→社員総会の決議)

分院開設に関する事業計画や予算案を作成し、まず理事会で付議した上で、社員総会の決議を経て定款変更を決定します。

ステップ2:都道府県への「定款変更認可申請」【※最も時間がかかります】

決議後、法人の所管である都道府県へ定款変更の認可申請を行います。

・事前審査:本申請の前に、書類の草案等を提出して審査を受けます。
・本申請:事前審査完了後、押印済みの正式な書類を提出します。
・認可書の交付:事前審査から認可書の交付までには、 おおむね3〜6か月程度の期間を要します。 書類の不備があればさらに時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールが必要です。

※申請の手順や呼称は都道府県によって異なります。 事前に所管の都道府県へ確認することを推奨します。

ステップ3:法務局での「変更登記」(司法書士業務)

登記事項に変更が生じる場合は、法務局での変更登記が必要です。詳細は司法書士にご確認ください。

ステップ4:保健所での「開設手続き」

医療法人が開設する診療所の場合、管轄保健所への「診療所開設許可申請」を行い、構造設備の確認等を経て「開設許可」を受ける必要があります。

その後、実際に診療所を開設した段階で「開設届」を提出します。

なお、手続きの詳細や必要書類は都道府県・保健所によって異なる場合があるため、事前に管轄保健所へ確認することを推奨します。

ステップ5:地方厚生局での「保険医療機関の指定」

保健所での手続きが済んだ後、管轄の厚生局へ「保険医療機関指定」の申請を行います。

この指定を受けて初めて、健康保険を使った保険診療を開始することができます。

【まとめ:早めのスケジュール立案を!】

分院開設には「①都道府県(定款変更)→②法務局(登記)→③保健所(開設届)→④厚生局(保険指定)」というリレー形式の手続きが必要です。

最初の事前審査から保険診療の開始までには半年以上の期間(実態として8〜10ヶ月程度)を要します。

希望する保険診療開始日から逆算して、計画的に準備を進めましょう。

【注釈】

本記事では定款変更手続きを中心に解説していますが、実際の分院開設では、保健所での開設許可申請・厚生局での保険医療機関指定申請も並行して準備を進める必要があります。

これらの手続きはそれぞれ独自の書類・審査期間・スケジュールが伴う煩雑な手続きであり、定款変更認可のタイミングと整合を取りながら同時並行で管理することが実務上の重要なポイントです。

各手続きの詳細については、別記事にて解説予定です。

医療法人 定款変更 分院の必要書類

診療所を新たに開設するための定款変更認可申請には、法人の運営状況や新しい事業計画を証明する多くの書類が必要です。
ここでは、主な必要書類と準備にあたっての注意点を簡潔に解説します。

※必要書類の種類・様式・部数は都道府県によって異なります。必ず所管の都道府県へ事前確認の上、準備を進めてください。

1. 申請に必要な基本書類

手続きにあたり、主に以下のような書類を作成・収集する必要があります。

・定款変更認可申請書、新旧条文対照表、新定款の案文
・社員総会の議事録(および理事会議事録)
・新設する診療所の概要(平面図、周辺概略図など)
・新管理者の就任承諾書、医師(歯科医師)免許証の写し、履歴書等
・新たな事業計画書、予算書(施設ごとの収入・支出など)
・法人の登記事項証明書(最新の登記が反映されているもの)

2. 状況に応じて追加提出になりやすい書類

分院の物件契約や資金調達の方法によって、以下の書類が追加で求められます。

・建物の賃貸借契約書: 物件を第三者から借りる場合に必要です。
(転貸借の場合は権利関係と添付書類に注意)

・適正賃料の確認資料(近傍類似賃料との比較等): 医療法人の役員が所有する不動産を法人に貸す場合など、
 賃料設定の妥当性を示す資料の提出を求められます。 必要な資料の形式は都道府県によって異なるため事前確認を推奨します。

・金銭消費貸借契約書・見積書: 開設資金を金融機関から借り入れる場合や、内装工事・医療機器の購入がある場合に提出します。

3. 書類作成・確認における重要な注意点

・各種届出の未了に注意: 毎年の「事業報告書等」や、役員重任等の「役員変更届」が行政へ未提出の場合、申請が受け付けられなかったり、認可が大幅に遅れたりする原因になります。事前の確認が必須です。

・新旧条文の完全一致: 提出する「新旧条文対照表」と「新定款の案文」は、一字一句完全に一致している必要があります。

・押印のルール: 事前審査の段階では押印は不要ですが、本申請時には押印や原本証明が必要です。

必要書類の収集・作成には時間がかかるため、認可までの期間(おおむね3〜6か月程度)を見越し、早めに準備に取り掛かることが重要です。

※本記事で解説している必要書類は、都道府県への定款変更認可申請に関するものです。
 分院開設にあたっては、これとは別に以下の手続きでもそれぞれ必要書類が発生します。

 ・保健所への診療所開設許可申請・開設届
 ・地方厚生局への保険医療機関指定申請

 各手続きの必要書類については、管轄の保健所および地方厚生局へ直接ご確認ください。

医療法人 定款変更で差戻しを防ぐチェックポイント

定款変更の認可申請において、行政からの差し戻しや審査の長期化を防ぐためには、以下の点に注意して準備を進めることが重要です。

1. 毎年の義務的な「届出」と「登記」を済ませておく

最もよくあるつまずきポイントです。

毎会計年度の「事業報告書等」や、任期満了に伴う「役員変更届」が未提出の場合、申請自体が受け付けられなかったり、認可までに長期間を要したりします。

また、法人の変更登記(資産総額変更等)が未了の場合も審査に影響することがあります。

登記状況の確認は司法書士にご相談ください。申請前に提出漏れがないか必ず確認しましょう。

2. 「新旧条文対照表」と「新定款」を一字一句一致させる

提出書類の不備も差し戻しの大きな原因になります。

提出する「新旧条文対照表」と「新定款の案文」は、一字一句完全に一致している必要があります。

また、本申請時の法人印の押印や写しへの原本証明のルールにも注意して書類を作成してください。

3. 施設名称・所在地の表記を全書類で統一する

定款の条文・新旧条文対照表・事業計画書・平面図など、複数の書類にまたがって記載される施設の名称や所在地は、
一字一句同じ表記で統一する必要があります。

「〇〇クリニック」「○○クリニック○○院」など、書類間で表記が揺れていると差し戻しの原因になります。
住所表記についても、丁目・番・号の表記方法を統一してください。

4. 法人の非営利性に反する取引・契約を行わない

医療法人は非営利性が厳格に求められます。

「近隣相場より著しく高額な賃料での賃貸借契約」「一部の役員のみを対象とした貸付・社宅使用・車両所有」などは、
実質的な利益供与とみなされ、行政から経緯説明や是正指導を受けます。

事業計画や資金計画が適正かどうか、事前に確認が必要です。

医療法人 定款変更 分院開設費用の考え方

分院開設に伴う定款変更を行政書士に依頼する場合、報酬額は案件の内容によって大きく異なります。

ここでは、費用の考え方と見積比較の際に確認すべき軸を整理します。

実費(行政書士報酬とは別に発生する費用)

行政書士報酬とは別に、以下の実費が発生します。事前に確認しておくことで、費用の見落としを防ぐことができます。

・登記事項証明書・印鑑証明書等の取得費用
・司法書士報酬および登録免許税
・診療所開設許可申請手数料

行政書士報酬が変わる主な要因

以下の要因によって、報酬額は変動します。見積依頼の際は、これらの条件を明確に伝えることで正確な見積を得やすくなります。

1. 変更条文の数・内容の複雑さ

変更する定款条文が多いほど、新旧条文対照表や新定款の作成・整合確認の工数が増加します。施設情報の追加のみであれば比較的シンプルですが、役員定数・附帯業務・事業目的など複数条文にまたがる場合は工数が増えます。

2. 診療所の数(同時申請の件数)

複数の分院を同時に申請する場合、書類作成・整合確認の工数が増加するため、報酬が加算されるのが一般的です。
一方、まとめて依頼することで個別依頼より割安になる場合もあるため、複数案件がある場合は同時依頼を検討する価値があります。

3. 連動手続きの有無・範囲

定款変更認可申請のみを依頼するのか、以下の連動手続きも含めて依頼するのかによって、報酬は大きく変わります。

・保健所への開設許可申請・開設届
・地方厚生局への保険医療機関指定申請
・役員変更届・事業報告書等の未了届出の整理

連動手続きを含めた一括依頼か、定款変更のみの依頼かを明確にした上で見積を依頼してください。

4. 法人の現状整理が必要かどうか

役員変更届や事業報告書等の提出が未了の場合、申請前にこれらを整理する作業が別途発生します。法人の現状が整理されているほど、追加作業は少なくなります。

見積比較の際に確認すべき軸

複数の行政書士事務所に見積を依頼する場合、以下の軸で比較することを推奨します。

・報酬の範囲が明確か
 (定款変更認可申請のみか、連動手続きを含むか)
・実費の扱いが明示されているか
 (別途請求か、含まれているか)
・医療法務の実務経験があるか
・都道府県医務主管課との事前相談対応が含まれるか
・差し戻し対応・補正対応が報酬に含まれるか
・スケジュール管理・進捗報告の体制があるか

単純な金額の安さだけで比較すると、連動手続きが含まれていなかったり、補正対応が別途費用になったりするケースがあります。見積の「何が含まれているか」を必ず確認してください。

※行政書士シルス医療法務事務所へご依頼いただく場合、 定款変更認可申請に連動する以下の手続きも併せてサポートいたします。

 ・保健所への診療所開設許可申請・開設届
 ・地方厚生局への保険医療機関指定申請
 ・役員変更届・事業報告書等の未了届出の整理

 連動手続きを含めた一括対応により、スケジュール管理・書類整合の負担をまとめてお任せいただけます。 詳細はお気軽にお問い合わせください。

医療法人 定款変更 分院対応は自分でできるか 行政書士に依頼する判断軸

結論から申し上げると、医療法人が自力で定款変更の手続きを完結させることは、不可能ではありません。ただし、実務上は極めて難しいのが実態です。

自力対応が難しい理由

1. 診療を止めずに手続きを進める必要がある

定款変更の手続きは、書類作成・都道府県との事前相談・本申請・補正対応など、複数の工程が長期間にわたって発生します。

医療機関のスタッフは日常の診療業務を抱えており、認可までの3〜6か月間、並行して行政手続きを管理し続けることは現実的に困難です。

対応が後手に回ると、スケジュールが遅延し、分院開設の時期そのものがずれ込むリスクがあります。

2. 定款条文の作成・整合確認に専門知識が必要

新旧条文対照表・新定款の案文は、都道府県のモデル定款・医療法・施行規則と整合した正確な条文表記が求められます。

一字一句の不一致・表記揺れが差し戻しの原因となるため、法令知識と行政実務の経験がない状態での作成はリスクが高くなります。

3. 都道府県・保健所・厚生局との並行対応が必要

定款変更認可申請に加え、保健所への開設許可申請・地方厚生局への保険医療機関指定申請が同時並行で進みます。

それぞれ窓口・必要書類・スケジュールが異なり、相互の整合を取りながら管理する工程管理の負担は相当なものになります。

4. 都道府県ごとの運用差への対応が必要

定款変更の審査基準・様式・事前相談の進め方は都道府県によって異なります。

初めて申請を行う場合、どの段階で何を確認すべきかの判断自体が困難です。

5. 法人の現状整理が申請の前提になる

役員変更届・事業報告書等の提出が未了の場合、申請前にこれらを整理する必要があります。

自力で現状把握と整理を同時に進めることは、診療業務と並行する中では大きな負担となります。

行政書士への依頼を検討すべき場面

以下のいずれかに該当する場合は、早期に専門家への相談を検討することを推奨します。

・分院開設のスケジュールが具体化している
・複数の分院を同時に展開する予定がある
・定款変更と連動する手続き(開設許可・保険指定)も発生する
・法人の届出状況(役員変更届・事業報告書等)に不安がある
・過去に行政から指摘・是正指導を受けたことがある
・理事長・管理者(院長)が手続きに割ける時間が限られている

相談時に用意しておくと効率的な資料

・現行の定款
・分院の開設計画(場所・時期・規模の概要)
・直近の事業報告書・役員社員名簿
・変更したい内容のメモ(箇条書き程度で構いません)

これらを手元に用意した上でご相談いただくと、現状の整理と対応方針の確認をスムーズに進めることができます。

まとめ|医療法人の分院開設に関する定款変更は 分院計画の初期から逆算が重要

医療法人における分院の展開は、単なる物件契約や内装工事にとどまらず、法人の根本規則である「定款」の変更を伴う重要なプロジェクトです。

手続きをスムーズに進めるためには、以下の4つのポイントを押さえておくことが重要です。

1. 分院計画の初期から逆算したスケジュール管理が最重要

定款変更の認可申請には、事前審査から認可書の交付までおおむね3〜6か月程度の期間を要します。

新管理者の理事就任を含めた人員計画や資金計画の初期段階から、希望する診療開始時期を逆算して、余裕を持ったスケジュールを組むことが成功の第一歩です。

2. 診療所の開設・移転・廃止は「変更条文」と「連動手続き」が増えやすい

診療所開設案件では、施設の「名称」や「所在地」の追加・削除だけでなく、「役員定数」や「附帯業務」など、定款内の複数の条文変更が連動して発生しやすくなります。

さらに認可書交付後も、保健所での開設許可・地方厚生局での保険指定といった連動手続きが立て続けに発生するため、全体像を把握しておく必要があります。

3. 決議・申請・連動手続きを一本の工程として管理する

分院開設に伴う定款変更は、都道府県知事の認可が必要です。

法人内での理事会付議・社員総会の決議から、都道府県への認可申請、認可後の保健所・地方厚生局への連動手続きまで、
分断せず一本の連続したプロジェクト工程として管理することが重要です。

どこか一つの工程が遅れると、分院開設時期全体がずれ込むため、全体のスケジュールを俯瞰した進捗管理が求められます。

4. 公的な定款例と様式を起点に、書類の整合と差戻し対策を行う

審査の遅延や差し戻しを防ぐためには、各都道府県が提示している「モデル定款」や公的な様式をベースに書類を作成することが最も確実です。

提出する「新旧条文対照表」と「新定款の案文」は一字一句完全に一致させること、毎年の義務的な届出(事業報告書等)を事前に済ませておくことなど、基礎的な対策を徹底してください。

分院展開における定款変更は、スケジュール管理・書類整合・連動手続きの並行管理など、診療業務と並行して進めるには負担の大きい手続きです。

早期に専門家へ相談することで、差し戻しリスクの低減とスケジュールの確実な管理が可能になります。

分院開設・診療所移転・診療所廃止に関する定款変更のご相談は、医療法務を専門とする行政書士シルス医療法務事務所へお気軽にお問い合わせください。